函館本線の長万部から小樽間のいわゆる山線。古くはC62が重連で10両より多い編成の急行を牽き、特急列車も走っていた鉄路。今は数時間に1本1両~2両の気動車が走るローカル線である。
先日、2030年度末の北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離され、存続が難しくなっている長万部~小樽間について、JR貨物が「災害時の代替ルートとして活用するには課題がある」と見解を示したというニュースがあった。
また、沿線の自治体では、全線鉄路維持を選んだ自治体はなく、余市―小樽間の鉄路存続は余市町のみだった。仁木町、共和町、倶知安町は全線バス転換、長万部町は町内のみバス転換を容認していたが、先日、方針を保留にしていたニセコ町、黒松内町も全線バス転換を支持する方針を固め、沿線9市町のうち方針未定は、小樽市と同管内蘭越町の2市町のみとなった。最早、存続は難しい状況となったようだ。
通勤の途中で尻別川とその川沿いを走る山線を跨ぐ橋を通る。蒸気機関車の時代には存在してなかった橋だが、数年前のC11の牽くSLニセコ号やそれが消えたあとの特急ニセコ号の格好の撮影場所となっているようで、その時期には鉄路の写真を撮る人をよく見かける名所である。
歴史的な鉄路が消えていくのはとても寂しい事だが、時代の流れを止めることはできない。便利さの陰に失われていくものがあることは世の常。鉄道は趣があるけれども、お値段の高い乗り物。新幹線になると猶更。速いし便利ではあるが、そんなに速さは求めていないので、ますます車に頼る生活になるだろうな。子供たちは新幹線が走るのを楽しみにしている。一度は乗せてあげたいなと思うが、そのころにはもう大きくなってるか。それも時代の流れ。
ここで鉄路がある風景を眺められるのもあと数年。良い風景を記憶にとどめておこう。